こんにちは!SOLOのルークです。
医療従事者の方に、IELTSやOETを教えています。
今回の記事では、「オーストラリアで医師として働く方法と年収」を紹介しています。
それでは、詳しくみていきましょう。
目次:
オーストラリアで医師として働く方法
必要な英語力
オーストラリアで医師として働く場合「24か月以内で働く場合」と「移住を含めて3年以上働く場合」によって必要なプロセスが違います。しかし、どちらにせよ必要になるのが「英語力の証明」です。
具体的には、以下のいずれかのテストで基準のスコアを満たす必要があります:
- IELTS:バンド「7.0」以上(各セクション7以上)
- OET:350点以上(各セクション350以上)
IELTSは、海外進学や移住で使用されるケースが多く、アカデミック領域に特化した試験内容です。IELTSで対策をすると、日常生活で役立つというメリットがありますが、臨床現場は想定していないため、働き始めた際に少し戸惑うことが多いかと思います。
OETとは、「Occupational English Test」の略で、医療現場で使用される英語に特化したテストです。医師の方ですと、背景知識で情報を補完できるというメリットがありますし、現地で働き始めた際にOETのテスト対策がそのまま役立ちます。
海外の難関大学の出願基準がIELTS「7.0」であることを考えると、かなりハードルが高いことが分かります。独学を前提とする場合、少なくとも1年は対策をする心意気で学習計画を立てると良いかと思います!
短期で医師として働く方法
まずは、オーストラリアで24か月以内の短期で医師として働くことを希望している場合です。
Australian Health Practitioner Regulation Agency (AHPRA)が定める、Specialist Pathway Short-Term Trainingに申しこみます。
以下のプロセスを踏む必要があります:
- IELTS7.0 or OET350以上取得
- 日本で専門分野の専門医を取得済み
- 雇用を約束してくれている雇用主がいる
こちらは、Specialistと名がある通り、日本で専門医を取得している方のみが応募可能です。
ちなみに、specialist pathwayは、そのままGeneral Registration(永住権)につながるものもあります。こちらは、1年間臨床医として働き、口頭試問、同僚のレファラルを元に審査されます。
分野が限られていたり、審査が厳しくなっており、Specialist Pathway(長期)から行かれる日本人医師はあまりお見受けしません。
ほとんどの方が、日本で専門医を取得し、このSpecialist Pathway Short-Term Trainingを活用してオーストラリアで臨床されるかと思います。
その第一歩としては、自身の専門のboard / college(協会)に連絡をしてみることです。自分の現状や質問等を共有してみてください。様々なアドバイスが得られます。
例えば、外科の方ですと、”Australian Board in General Surgery“、産婦人科医の方は “The Royal Australian and New Zealand College of Obstetricians and Gynaecologists“へコンタクトをするといった具合です。
- 参照:Short term training in a medical specialty pathway(短期/一般)
- 参照:Short-term specialist training(短期/外科)
- 参照:Specialist Pathway(長期/永住)
雇用主の見つけ方
オーストラリアで短期で医師として働くためには、雇用を約束してくれる雇用主がいることが条件だと上に書きました。
実は、このハードルが高いです。医師免にあたるregistrationは就職先ありきだからです。雇用主の見つけ方は4つの方法があります。
- 1. board / college(協会)のウェブサイト上
- 2. 病院にゲリラメール
- 3. 求人サイト活用
- 4. 現地日本人医師からの病院紹介
- 5. 研究 or MPHからのコネ→病院紹介
勤務可能な病院に関しては、自分の専門のboard / college(協会)のウェブサイトに記載があります。まずここに当たるのが定医師です。
ウェブサイトの構造が悪く、求人を見つけづらい時などは、「Australian Orthopaedic fellowships directory」などと検索をかけると、グーグル上でトップ表示されます。
外科のような場合は、常に求人がアップデートされており選択肢も年中豊富です。問題は、専門が比較的マイナーな場合です。board / collegeのWeb 上に、ほとんど選択肢がなかったりします。
そういった場合は、「病院にゲリラメール」または「求人サイト活用」のいずれかで仕事を獲得する必要があります。例えば、以下は豪州での医療従事者向けの求人サイトになります。
- 参照1: eRecruit(NSW州)
- 参照2: Queensland Health job(QLD州)
- 参照3: Monash Health (VIC州)
- 参照4: MedJobsWA(WA州)
多くのポジションはオーストラリア人向けですが、交渉することで、外国人医師を考慮してくれることもあります。
定期的に求人をチェックして、鋼のメンタルでアプローチをかけましょう。失うものは何もないはずです!
長期で医師として働く方法
ここからはオーストラリアに医師として永住権を獲得しようとしている人や、2年以上の長期期間働きたいと考えている人向けです。
オーストラリアで長期的に臨床活動を行いキャリアアップをするためには、AHPRAが管轄するGeneral Registrationと呼ばれる手続きが必要です。
先ほどご紹介した、Specialist Pathway(長期)によるSpecialist Registrationも模索する価値はあります。しかし、永住権という観点では、以下のAMC合格による医師免許を取得する方が、より確実性が高いです。
具体的なステップです:
- IELTS7.0 or OET350以上取得
- AMC パート1 (MCQという筆記試験)
- AMC パート2 (臨床試験)
- 1年間の研修 (上記試験と同時並行)
- General Registration登録
こちらも第一ステップは、英語資格の取得です。
その上で、オーストラリアの医師国家試験に当たるAMC(筆記試験と臨床試験の2つ)に合格する必要があります。
最後に、内科と外科と救急の3つの必須科目のローテーションを含めた、1年間の研修トレーニングを行わなければなりません。
気づいた人もいるかと思いますが、臨床試験を受けるという事はすでにオーストラリアで臨床の世界に入っていることを意味します。
つまり、長期で永住権を目指して働くにしても、短期のSpecialist Pathway Short-Term Trainingから入っていくことも1つの手だということです。短期でLimitedの医師として働きながらも、AMCをクリアしていくというルートです。
Generalにしろ、Specialistにしろ、永住権までのプロセスは、医師免許の獲得が最もハードルが高いです。医師免許獲得後は、ポイントさえ満たせれば永住権のEOIが発行されるため、スキームとしてはシンプルです。
永住権のビザは、一般的なポイント制度を活用する189、郊外の指定エリア(田舎)の病院勤務から得る491、職場スポンサーになる186などがあります。実際に、どれが確実性が高いかは、その方の状況によります。
AMC パート1 (MCQ)
AMCが課すMCQという筆記試験はPearson VUEによって運営されておりオンラインでの受験となり、日本でも受験が可能です。
五者択一の選択問題からなる試験で問題数は150問です。内科、外科、小児科、産婦人科、精神科、公衆衛生の6科目からの問題が出題され、試験時間は3.5時間です。
AMCパート1の対策として、公式に推薦されている教材は、こちらのリンクから確認が可能です。
AMC パート2 (臨床試験)
AMC パート2 の臨床試験は医師と患者のシュミレーション形式において医師の役割を果たす受験者の臨床能力を評価する試験です。
全16のステーションのうち、9ステーションをパスすれば合格となります。
実際は、2ステーションが採点されないダミー問題となっています。つまり、採点される14ステーションのうち、9ステーションの以上の合格が必要だということです。
出題範囲は、内科外科、小児科、産婦人科、精神科、身体診察の5科目です。
問題を読む時間が2分、実際の診察は8分で、時間内に問診、診察、診断、説明のすべてをこなします。
ほとんどの人は、オーストラリアの病院で働きながらAMCのパート2を受験しています。
OETの勉強が少しは役立つところですが、より具体的でリアリティのある試験で難解です。医学知識と問診能力は当然ながら流暢な英語力と適切な言葉選びが要求されます。
AMCパート2は、妥協は一切ない試験です。合格率も30%前後です。
試験内容が変更されることがありますので、最新情報は以下よりご確認ください。
WBAという臨床試験の選択
渡航前のIELTSやOETと並んで、上記のAMCによる臨床試験がオーストラリアで医師として永住権を獲得するための最難関となります。
この臨床試験を受けなくても良い選択肢としてWorkplace based assessment (WBA)という制度があります。
WBAは約半年の臨床研修コースのことで、指定病院にて24のアセスメントを消化すればGeneral Registrationができます。
WBAの問題は、指定病院での空きスポットを見つける難易度が高いことです。WBAのウェブにも以下のように表記されています。
受け入れ先の病院を自分で見つけられるか、紹介してもらえるかがカギになります。
指定病院は、下記リンクからご確認ください。
1年間の医師研修
オーストラリアで長期的に医師をするためには、最低で1年間の医師研修が必要です。
上記で紹介したAMCによる試験の準備をしながらも、内科、外科、 救急の3つの核となる科目を含めた47週間の病院ローテーション研修を行う必要があります。
内科と外科の研修が最低10週、救急の研修が最低8週間必要です。残りの期間は自身の選択科目の研修となります。
病院にポジションがある限り、 1年間の病院研修は比較的容易にクリアできることが多いようです。
オーストラリアの医師の年収
最後にオーストラリアの医師の年収をまとめておきましょう。
- Resident: AU$81,000 – $110,000
- Registrar: AU$102,000 – $130,000
- Consultant: AU$130,000 – $250,000
オーストラリアの医師は上記3層に分かれています。直訳の言葉はありませんが、イメージとしてはResidentが研修医、Registrarは中堅医師、Consultantは現場に指示を出す部長といったところです。
年収は地域、病院、シフトによって変わりますが概ね上記の範囲です。
まとめ
以上が、オーストラリアで医師として働く方法と年収まとめでした。
短期で働くにしても、長期で働くにしても英語の基準値を満たすことが最初のハードルになります。レベル感としては、およそ英検1級に余裕をもって合格する程度です。
IELTSとOETのどちらで対策をしようか迷っている人は、下記の記事を参照にしてみてください。
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- OET対策コース 受講生No.146
- OET対策コース 受講生No.145
- OET対策コース 受講生No.144
- OET対策コース 受講生No.143
- OET対策コース 受講生No.142
- OET対策コース 受講生No.141
- IELTS対策コース 受講生No.140
- OET対策コース 受講生No.139
- IELTS対策コース 受講生No.138
- IELTS対策コース 受講生No.136
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記事を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
オーストラリアで医師(医者)として働く方法と医師の年収の記事を拝見しました。
私は、オーストラリアで長期間働くことを目指してしますが、Specialist Pathway Short-Term Trainingからspecialist pathwayに移行することは現実的には難しいのでしょうか。制度上は可能かと思いますが、、
例えば、2年間ある病院で働き、そこのボスにsupervisorになってもらうことは難しいですか。